memo 2016/09/16
斜め読みのメモ。
「IoT」に「LTE/5G」はどう関わっていくのか――通信モジュール開発の大手Telitに聞く - ITmedia Mobile
主にモジュールを軸に IoT ソリューションを展開する企業のインタビュー。原価に対してシビアな見方。5G についてもそこまでの要件を必要とするケースは少なく、原価が下がる事が重要という見方。主に Massive IoT に関して。
「+dで社会インフラに貢献していく」――吉澤副社長に聞く、NTTドコモの5GとIoT戦略 (1/2) - ITmedia Mobile
docomo についても Massive IoT での 5G 普及に関しては動向を探っている模様。どちらかというと、ultra-reliable の特徴を活かした車車間通信などをキーにしようとしているように見える。とはいえ、先行投資も凄いだろうから全方位でやる気満々だろう。アンライセンスバンドの LTE も視野に入れている。
Mobile World Congress 2016:既存のLTEから5Gまで――インフラ技術の進化を支えるQualcomm - ITmedia Mobile
Qualcomm もアンライセンス LTE 推し。確かに、公衆無線 LAN は色々と限界であろう。そもそも無線 LAN の使い方としては向いていない。収容効率悪いし。
Sonera, Nokia trial 5G mobile, 10Gbps copper technologies
毛色が変わって、5G で無線側の容量が上がっても、そことコアを繋ぐ優先についてもきちんと上げていかないといけませんよと。
RoLaWAN
ソラコム、IoT/M2M通信に適したLPWAネットワーク(LoRaWAN)事業に参入 | IoTニュース:IoT NEWS
ソフトバンク、IoT機器向けネットワーク「LoRaWAN」を提供、低消費電力・長距離通信が特長 -INTERNET Watch
ソラコムやソフトバンクといった、日本の企業による RoLaWAN 採用のニュースがぼちぼち出てきている。
RoLaWAN は IoT 向けの無線通信規格で、最大の特徴は免許不要という点。そのため、ソラコムといった、IoT のプラットフォームを提供している会社にはうってつけであるし、海外では通信事業者も積極的な取り入れを行っているようだ。
ASCII.jp:IoT時代のラストワンマイルを担うLoRaWANの実力とは?
上記リンクによると、実証実験も積極的に行われているように見受けられる。実証実験の結果をみると、RoLaWAN についても見通しがどうとか、エリア設計の考え方が必要になってくる。そういった意味からも、ソフトバンクのような通信事業者に分がある。しかし考え方を変えると、エリア構築に関わっていたエンジニアはこれまで、携帯電話の免許を持つ通信事業者やそこに無線通信システムを提供するベンダあたりで飯を食うのが主だったのが、免許を持たないような企業なんかでも雇ってもらえるようになるかもしれない。
ところで、免許不要の帯域で 2km をカバーするという事だが、干渉が気になるところだ。Wi-Fi なんかはせいぜい数百メートル程度のカバレッジであるが、それでも通信事業者が乱立させた無線 LAN スポットがちょっとした問題になっていた。実証実験ではお互いの電波干渉を考えなくて済むような理想郷で行われているだろうが、ある時期までは使えていたのに、どこかの RoLa がやってきてカバレッジが確保出来なくなった、みたいな問題は起こりかねない。
IoT向け無線通信「LPWA」の全貌 - 「急拡大するLoRaWANのエコシステム、LTEとは補完関係、WiMAXにはならない」:ITpro
上記の RoLa アライアンスのメンバのインタビュー記事では、NB-IoT といった(免許を要する)規格とは競合せず、補完しあう関係という話だが、NB-IoT の広いカバレッジに RoLA が太刀打ちできるとも考えづらい。
ユースケースとしては、「もうこんなところ自分たち以外に使ってないでしょ」的な場所でのエリア構築となるだろう。例えば、スポット的に携帯電話の電波すら入らないような地域であるとか、5G といったインフラ構築が費用対効果的に現実的ではないものの暫定的なインフラ構築が必要な環境(開拓地域?)など。
そう考えると、NB-IoT なんかで広範囲のエリアカバレッジはしておいて、難通信地帯での法人顧客のフォローは個別で RoLaWAN を使う、みたいな使い方が想定される。ただそれって利鞘はあるんかな。
Massive MIMO
ソフトバンクとWCPが「5G Project」を開始 第1弾の「Massive MIMO」導入のメリットは? - ITmedia Mobile
SoftBank が LTE で Massive MIMO を始めるという話。
1 つアンテナあたりに指向性の強い多数の素子を持たせ、その指向性をカバーするためにビームフォーミングを行うことで通信を行う。指向性が非常に強いため干渉に強い、すなわち、電力効率が良い(同じ電力でも高いレートで通信を行うことができる)ため、端末の電力消費を抑えられたり、スループットが上がりやすくなる。
記事にも書かれているが、5G に向けてということで、かなり実験的な意味合いが強そうである。現状、トラフィックの多い地域に対してのみ導入するというような限定的対応なところからも、実効スループットやユースケースについて向上の余地があるのかもしれないし、アンテナの価格がまだまだ高いのかもしれない。
Why 5G Network Slicing
5G で規定されている、xMBB, mMTC, uMTC はそれぞれの求められる通信要件が異なる。そのため、基地局と接続するための無線アクセスについてそれぞれ最適な方式が異なってくる。加えて、EPC といったネットワーク部においても、それぞれにおいて適した制御が必要になる事が想定される。例えば、大量接続という特性ゆえ、単価や安くなると想定される mMTC によってネットワークのリソースが食いつぶされ、ユーザ体感のために高い品質が求められるであろう xMBB や、性能劣化が致命的に響いてくるであろう uMTC に悪影響が出る事はゆるされない。
そういった懸念に対処するのが、Network Slicing という考え方である。事業者は大きなチーズのような塊のネットワークリソースがあるとして、それを必要なサイズにスライスして使用する。これまでも、VLAN など、論理的にネットワークを分ける方法はいくらでもあったが、例えば VLAN を見ても分かるように、運用中のネットワークを柔軟に変更するというような類のものではなかった。SDN や NFV といった概念、技術をもってようやく、Network Slicing が出てきたというところなのかもしれない。
では、具体的に何を指標に定めて Slice するのか。詳しく書かれたサイトは見つからなかったが、帯域幅であるとか、管理するコネクション数であるとか、許容遅延であるとか、そういったところのようだ。今までは人の手で(VLAN がどうとか、bonding がどうとか、アドレッシングがどうとか)設計していたところを指標を定めて Slice してしまえば良いというのはとても便利だろう。
加えて、例えば昼は xMBB のトラフィックが多いから、xMBB 用に Network を Slice させる。夜間は mMTC のトラフィックを多く捌く。そういった使い方もできる。mMTC は人間が介在しない類の機器になるので、例えば、深夜割安料金を設定してバッチ処理などを夜間にやってもらうように誘導すれば、ユーザもオペレータもハッピーになる。
MBB の拡張と MTC
前回のエントリにて、(i) 5G ではあらゆるデバイスが接続する事を想定していること、(ii) あらゆるデバイスはそれぞれの用途によって求められる特性が異なることを述べた。様々な種類のデバイスに求められる特性全てを、一つの規格で定義し、一つの種類の無線アクセスに収容する事は現実的ではない。
5G では、スマートフォンといった従来の端末 (MBB: Mobile Broad Band) に加え、MTC (Machine Type Communication) を想定し、それぞれの特性に応じた無線アクセスを規定している。MTC については、さらに mMTC (massive MTC) と uMTC (ultra-reaiable MTC) に分類されている。
xMBB (extreme Mobile Broad Band)
主に人が使う端末を想定している。電話のような即時性、ビデオストリーミングのような高速通信、電話会議のような帯域保証といったものが必要となる。端末のさらなる普及により、収容効率の向上(数を増やすこと、数が増えても全体のスループットが落ちないこと)も運用上必要だ。
mMTC (massive Machine Type Communication)
一般的に想像される IoT 機器にあたる。電力自由化によってなんとなく耳にするようになってきたスマートメータ、センサ端末、工業ロボットなどなど。これらは、圧倒的な高速通信こそ必要ない場合が多いが、広いカバレッジ、省電力、圧倒的な収容可能数が求められる。
uMTC (ultra-reliable MTC)
危険回避のための車載機器や、遠隔医療など、パケットロスや遅延の許されないような機器を想定している。低遅延、高信頼性、帯域保証といったものが求められる。
NB-IoT と Cat-M1
NB-IoTやCat-M1、3GPPで標準化進む「セルラーIoT」の現状をエリクソンが解説 - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
エリクソンはセルラ系機器のベンダなので、IoT についてもセルラ寄りの話。ここでは LTE 規格である、NB-IoT と Cat-M1 について。
両方とも、LPWA (Low Power Wide Area), すなわち、小型かつ大量にばら撒かれる機器に対する通信の規格。主に、省電力、広いカバレッジ、同時接続数の多さが求められる。求められる帯域幅など、スペック上に違いが見られるが、どちらも LTE に包含される規格という事になる。通信事業者は両方を採用するという事になるのか、通信機器ベンダは両方の開発に注力する事になるのか、というとなかなか疑問が残る。
ユーザ(機器を導入する法人)がそこまで繊細に通信規格を選ぶようには思えないので、通信事業者が両方のオプションを準備するのも現実的ではない(韓国はやっているんだったか・・・忘れた)。そうなると、ベンダも技術的に明るい(強みを持つ)方に肩入れするだろう。ぱっと見た印象では、ノキアの記事にもある通り、いささか中途半端さの残る Cat-M1 よりも、Massive IoT に特化した(尖った)NB-IoT が主流になる可能性が高いように感じる。
NB-IoT の収容数がかなり見劣りするように見えるが、「キャリアあたりの収容数」とあるので、Cat-M1 の 1/7 の 帯域幅で収容数は 1/5 なので、帯域幅あたりの収容数は NB-IoT のが多いのだろう。
5G のユースケース
5G ではいかなるデバイスをも接続する事を想定している。
デバイスごとに用途が違うので、それぞれに求めらえる特性は異なる。通信速度は速いに越したことはないけれど、それによって消費電力が上がる。センサノードであれば、速度はほどほどで良いので、消費電力が少なく、できるだけカバレッジが広く方が良いだろう。
本記事では、ユースケース毎に求められる要素をまとめる。
スマートフォンなどのデータ通信端末
VR, 4K などの超データ通信
スマートフォンのビデオストリーミングに近いが、今後はより高画質なビデオ伝送が始まる。結果として、求められるデータレートが上がる。当分はそれほどのモビリティは求められないだろう。
電話、ビデオ会議
今も使われているものと同じ。技術の普及によって、求められるデータレートが上がる可能性はある。
公共交通機関
例えば、新幹線に基地局を設置し、乗客はそれに接続する。新幹線に設置された基地局は、移動しながら親局を切り替え、通信を続ける。今のように、それぞれのスマートフォンが、個々に頑張って繋がるかも分からない基地局に接続することはしない。
- 高モビリティ
- 高収容効率
- そこそこのデータレートとスループット
Massive IoT
センサ機器といった、大量の機器をばらまいて情報収集する類のもの。安価で小型、そして小容量のバッテリで動作する事を想定しているもの。
交通(主に自動車の事故回避)
車車間、路車間通信。今は、車というと、カーナビなどを使った通信のイメージが強い。しかし今後は、車同士が通信し、危険を回避するために運転者に通知したり、直接車載機器が通信を行い、アシストブレーキをかけるといった用途が考えられる。
- 低遅延
- 高信頼性(パケットの破棄や再送が起きない)
- 高カバレッジ(デッドスポットすら許されないであろう)
遠隔制御(遠隔医療など)
災害現場で即時の出術が必要な状況において、遠隔ロボットを使用した外科手術を行うといったケース。
- 低遅延
- 高信頼性(パケットの破棄や再送が起きない)
- QoS(安定した通信速度の確保)