Huawei
ここ最近の Huawei.
Optus and Huawei clock 35Gbps speeds in 5G trial | ZDNet
Huawei and NTT DoCoMo reach 11Gbps speeds in 5G Japanese field trial | ZDNet
オーストラリアの通信事業者や日本のドコモとトライアルをやっている。Huawei としては、さまざまな通信事業者とトライアルをやる事で対外的なアピールになる事と、国それぞれで異なる周波数帯のフィールドテストができるというところがメリット。
M-CORD
CORD releases open sourced VEPC in support of 5G deployment plans
CORD というのは、Central Office Re-architected as a Datacenter の略。通信事業者などが持っている中規模の交換センター (Central Office) を、来るべき将来に備えて有効活用しようというものである。具体的には、Central Office に設置されている装置を仮想化していき、集約効率を高めたり、さまざまなファンクションを柔軟に構築できるようにする。または、Central Office ごとに少しずつリソースを取得し、それらを統合させて一つのある程度の規模のデータセンタに見立てるといったこともできるだろう。
CORD のモチベーションとして、ロケーションの有効活用というのがある。用地確保やそこに建物を立てるのは大変だ。建物を建てるのにもまとまったお金が必要だし、用地という点ではそもそも場所を見つけるのに苦労する。データセンタだと、田舎のところに建てるというところになるが、やはり運用にはいくらかの人が必要なので利便性はある程度確保したかったり、電源経路を冗長にとるという観点でいけば、電力事業者にお願いして複数のソースから電力を引き込まないといけないなど制約が多い。
仮想化では異なるサイトに設置されている少数のリソースを組み合わせて一つのプールを形成することもできる。パフォーマンスは落ちやすいだろうが、サイト冗長という観点では有益だろう。既存のリソースを有効活用できるならば、なおよしだ。
CORD をモバイル分野にも導入しようというのが M-CORD であり、5G でもAT&T などが導入を目指しているようだ。具体的な使い方がどうなるか、という話になってくるが、EPC や RAN の仮想化が進んでいく中で、各サイトも仮想化基盤に置き換えていくという選択は、柔軟なネットワーク形成という観点で潰しが効きそうだ。
もちろん、潰しが効くかどうかで投資というのは行われないけれど。
5G のユースケース
Fiber-to-the-home is expensive; could fixed 5G bridge the last mile?
この記事では、5G を Fixed Wireless Access を一つのユースケースとしている。
ブラジルの事例 でもあるように、5G を Fixed Wireless Access として使う事を考えている事業者やベンダーは少なからずいる。一つは、利用する周波数帯が高いため、エリアのカバレッジやモビリティを確保しづらいという背景があるのではないかと思う(FWA であれば、少なくともそういった部分はネガティヴ要素にならないからだ)。
しかしながら、日本を見てみると、既に NTT によって FTTH が張り巡らされている中、そういったニーズは少ない。たしかに、UQ の Mobile WiMAX は一人暮らしの層に対して固定アクセスの代替としての訴求はしているが、全体のシェアとしては限定的であろう。
日本に限らず、特に先進国では周波数というのは貴重な財産になっている。不用意な使用は避けたいというのが本音だろう。せっかくのまとまった周波数帯を使えるのだから、5G が人々にとって素晴らしい未来を提供できる事を祈る。
標準化を巡る戦い
AT&T's Bid For Early 5G Standard Denied By Verizon | Androidheadlines.com
5G についても標準化のために通信事業者や(無線機やコア設備を提供する)ベンダが議論を交わしている。
標準化を行うメリットやデメリットとしては、次のようなところがある。
- 通信事業者
- 標準化させる事で仕様が最低限定まるため、複数の無線機ベンダを交えたネットワークを作る事ができる
- 各通信事業者とも根幹となる技術に差異が出づらくなるため、差別化要素が出しづらい
- ベンダ
- 標準化させる事で仕様が最低限定まるため、自社製品を大きな変更なしに複数の通信事業者に売りやすくなる
- 各ベンダとも根幹となる技術に差異が出づらくなるため、価格競争に繋がる恐れや、他社への取り替えなどが起こりやすくなる
AT&T については、標準が固まったものから構築を開始していくスタンスという事で、Verizon のような競合他社に足を引っ張られるとそれだけ 5G の展開時期が遅れるというリスクが生じる。ただし、Verizon としても標準化が遅れれば同じようなリスクを追う事になるし、標準化スケジュールをある程度無視して開発を進めるとなると、ガラパゴス化を招くという恐れもある。
もしかしたらガラパゴス化した場合のリカバリプランあっての戦略なのかもしれないけれど。
SON
Analyst Angle: Is SON the future of cellular networks?
SON は Self Organizing Network の略。
従来のエリア構築にあたっては、基地局の初期設定やエリアに関するパラメータといった情報は人が設計した上で投入してきた。当然、オペレーションについても人が行う。
セルラネットワークへの品質ニーズ(速度、カバレッジ、サービス継続性)が高まってくると、自然と基地局も密になってくる。そのような環境の変化に対して、人が設計をしていくというやり方ではいつか破綻が生じる。具体的には、基地局が増えれば増えるほど、工数がかかるし、エリアパラメータが収束しない、収束したとしてもそれが本当にベストなエリアかどうかは分からない。
それを解決するためのアプローチが、SON となる。
自己組織化については化学といった分野で古くから研究されている。分子一つ一つが隣接した分子と情報の交換を行い、変化を起こしていく事で、ある一つの分子構造に収束する、といった感じのものだ。SON では基地局一つ一つを要素として、それぞれがパラメータを与えられなくとも隣接した基地局の情報を元に、一つのパターンに収束するという事になる。
SON の主要機能(収束させるべき目標)は主に 3 つに分類できる。
- Self-configuration
- Self-optimization
- Self-healing
ただし、Self-healing については、他の二つと比較すると毛色が異なる。というのも、前者 2 つは、基本的には、周辺含めた基地局の設定を収束させる事を目的としているが、Self-healing については、自動修復、すなわち、ある基地局に問題が起きた時に自動リセットがかかるとか、システムの運用自動化の側面が強いからだ。もっと言えば、configuration/optimization については「どういったものを最適とするか」という観点が重要になる(例えばエリアのカバレッジとトータルスループットは共存できないかもしれない)が、自動修復については「健全な状態に戻す」という意味ではベクトルを揃えやすい。
という事で、SON の難しいところは、互いに毛色の違う 3 つの機能を SON として一まとめに考えてしまうところかもしれない。
Interesting facts about 5G network
http://www.thewindowsclub.com/5g-network:titile
5G network の興味深い事実、だそうで。以下は記事にあるトピックについて、個人的なコメント。
とても速い
標準化で目指している通信速度から、実際に 5G としてお目見えするところとしては 1Gbps から 5Gbps 程度の速さになるだろう。しかし、この速さを到達させるには、変調方式を工夫するだけではない、まとまった周波数の帯域幅を使う必要がある。そういった事情から、5G では従来よりも高い周波数帯を使用する(少なくとも sub-6GHz, ないしは 28GHz 以上)事が想定されている。
まだ標準化されていない
前項で変調方式を工夫する、とあったが、実際にはどのような変調方式を採用するか含めて無線アクセス技術については未確定な部分が多い。後述の、「単純に速くなるだけではない」というファクタから、単一の無線アクセス技術に収束しない可能性も大いにある。たしか、15kHz の 2 の n 乗倍のサブ
キャリアを持つ OFDMA を基本とする方向で整理されているとかいう話だったけど、Qualcomm のチップが発表された ようだし、そろそろ標準として定まってきたのだろうか。。。
2020 年より前に使えるようになるかもしれない
ソフトバンクが Massive MIMO を 4G で導入 したように、5G の要素となるような技術については(競争の激しい地域のキャリアは)積極的に 4G での採用を試みている。また、次の冬季オリンピックは 2018 年に韓国のピョンチャンで開催となるが、韓国は通信技術の導入、開発に関して積極的な国である。そのため、韓国の各キャリアやそれを取り巻くベンダは、オリンピックになんとか 5G を見せようと躍起になっているようだ。
まぁまぁ高い
うーん、どうなのだろうか。
単純に速くなるだけではない
5G では現状 3 つのマシンタイプが定義されている。
- eMBB (Extreme Mobile Broad Band): 従来のモバイルブロードバンドの進化
- mMTC (Massive Machine Type Communication): IoT 系端末の大量収容
- URLLC (Ultra Reliable Low Latency Communication): 超信頼かつ低遅延の通信
主に速度が速くなるというのは eMBB であり、例えば mMTC の要件としては「そこまで速くなくてよい」「たくさんの機器が安く繋がることが望ましい」「なるべく消費電力は小さく」「どこで使われるかわからないので、カバレッジは広く」といった感じになる。
そういった事情があるので、先の項にもあったように、無線アクセス技術に自体も収束が難しいという背景があるのだろう。
ちなみに、mMTC については ほとんど 2020 年頃 という感じだそうで。
光ファイバの伝送効率
世界最高周波数利用効率を達成した光ファイバーの伝送容量拡大技術の実証に成功 | 株式会社KDDI総合研究所
KDDI 総合研究所(旧 KDDI 研究所)にて、光ファイバの伝送効率を上げたという研究発表。
まず光ファイバにおける 6 モード伝送というのはあまり分かっていないが、docomo が「256 QAM 対応で LTE の下り通信速度 500Mbps」と言っている中で、光ファイバって難しいのね、という感想。
実際には、LTE のような無線環境では、それだけの電波品質を確保できるケースはあまりないだろうし、HARQ の再送なんかもバンバンかかってスループットはカタログスペック通りには出ないだろう。
一方で、光ファイバなんかだと、基幹伝送路やバックホール回線で使われるので、無線通信のような謝り率の高さや不確定さは到底許容できない。そういった背景から、「従来では 6 モード以上では QPSK」という縛りがあるのだろう。
5G では、5G で使用する周波数帯域幅自体をバックホールとすることも想定されているようだが、そういった謝り率についてもシビアに見ていかないとユーザスループットにかなり揺らぎが出てくる懸念はある。