3GPP memo - TR38.801 V14.0.0 (2017-03)

38 series がいくつか TS (Technical Specification) になっていたので少しずつチェックしていく事に。

といいつつ、今回は TR38.801. Scope は Radio Access Architecture and Interface である。

https://portal.3gpp.org/desktopmodules/Specifications/SpecificationDetails.aspx?specificationId=3056

メイントピック

ざっと見て、議論されている部分は下記のようなところ。

  • 7 RAN Architecture and Interface
  • 8 Realization of Network Slicing
  • 10.1 Dual Connectivity between NR and LTE
  • 11.1 Function split between central and distributed unit

7 RAN Architecture and Interface / 8 Realization of Network Slicing

5G を機に、Core は Evolved Packet Core から 5G Core (NGC: Next Generation Core) へのマイグレーションが提案されている。

5G Core の特徴は下記。

  1. Slicing への対応
    • 5G では eMBB, URLLC, mMTC のユースケースが想定されているが、それらを単一のネットワークで実現するためには Slicing が必要である。
  2. CU 分離
  • Control Plane, User Plane それぞれの信号について、処理する論理ノードを分ける。
  • 具体的にメリットを述べている文献はほとんどない(TR でも明記はされていない)。

この NGC を使うか、EPC を使うかでまず選択肢が出てくる。NGC を使う場合は、新規に設備導入が必要となる。EPC の場合は、既存設備の改修で済むかもしれない。

続いて、これらの Core に gNB と eNB のどちらを接続するかというパターンが出てくる。全パターンを網羅すると、7.2 5G Architecture Options となる。

  • Option2: NGC - gNB
    • 5G として最も単純な構成
    • LTE という既存資源(オペレータ観点でいうとエリアの広さ)は全く使えない。
  • Option 3 and 3A: EPC - eNB - gNB
    • EPC と eNB が接続され、gNB はそれに付随する。
    • eNB のエリアがなければ、呼切断となる。
    • eNB から gNB に U-Plane を渡すのが Option3, EPC から直接 gNB に U-Plane を渡すのが Option3A.
    • C-Plane はいずれも EPC から eNB に渡される。
    • eNB のエリアがなければ、呼切断となる。
  • Option 4 and 4A: NGC - gNB - eNB
    • Option3 の真逆。
    • gNB のエリアがなければ、呼切断となる。
  • Option5: NGC - eNB
    • NGC が製品として出回ったころに LTE を導入するオペレータ向けと思われる。
  • Option 7 and 7A: NGC - eNB - gNB
    • Option3 の Core が EPC から NGC になったバージョン。
    • eNB のエリアがなければ、呼切断となる。

5G では 2.5GHz 以上、mmWare といった高い周波数帯を使う事から、単独でのエリア構築は心もとない。モビリティ確保の観点でいうと既存資源である LTE エリアと連続性を持たせたいというモチベーションがある。そういったオペレータにとっては、Option 3, 7 が良いだろう。

10.1 Dual Connectivity between NR and LTE

7.2 5G Architecture Options における Option 3/3A, 4/4A, 7/7A では、gNB と eNB が接続される。こうなってくると、NR と LTE 両方を使ってデータのやり取りをしたくなるというのが人情というもの。ここでは U-Plane をどの経路で流すかというところが議論されている。

eNB と gNB の連携は TS36.300 の Dual Connectivity をベースとしている。場合分けとしては 4 つが考えられる。

  • MCG で U-Plane を流す (MCG Bearer)
    • Dual Connectivity ではない
  • SCG で U-Plane を流す (SCG Bearer)
    • Option 3, 4, 7
  • MCG を経由し、MCG と SCG 両方で U-Plane を流す (Split Bearer)
    • Option 3a, 4a, 7a
  • SCG を経由し、MCG と SCG 両方で U-Plane を流す(SCG Split Bearer)
    • Option 3x, 4x, 7x

ここでいう Option 3 とか 3a とかいうのは、7.2 5G Architecture Options の Option 3 とか 3A とかとは別と考えた方がよい。後者は NGC/EPC と gNB/eNB が接続する際にどのような論理インターフェースを持つかという観点になっている。その上で、どのように U-Plane を流すかが 10.1 Dual Connectivity between NR and LTE となる。

11.1 Function split between central and distributed unit

Central Unit (CU) と Distributed Unit (DU) にノードを分けようという考えのもとで議論が行われている。CU, DU それぞれに、RRC/PDCP/RLC/MAC/PHY/RF というレイヤのどの機能を持たせるかというのがキーポイントとなる。とりあえず、全てのパターン(もっと言うと、RLC, MAC, PHY はそのレイヤ内でも)で分割させた場合のメリットデメリットを検討している。

Split の方法によっては、(CU をコアと同義と捉えると)DC の Option に近い形態となる。例えば、Option1 (1A-like split) では、RRC が CU に実装され、RLC 以下は DU に実装される。この状態で、2 つの DU に対して Dual Connectivity を実現させようとすると、CU から 2 つの DU の PDCP それぞれに対してトラフィックが流れる。これは、DC の 1A(コアから 2 つの eNB の PDCP それぞれにトラフィックが流れる)という形態と同様と捉える事ができる。

それぞれのメリット、デメリットは 11.1.2.9 Summary table にまとめられている。

  • Baseline available
    • LTE までの標準に準拠しているかどうか
    • Option 2 は 3C-like DC, Option 8 は CPRI なので、既に実装を済ませているベンダにとっては対応しやすい
  • Traffic aggregation
    • Option 1 では CU に RRC しか実装されない(C-Plane しか扱わない)ので、RAN のレベルで U-Plane を分割して複数経路で送信するという機構がない。
  • ARQ Location
    • RLC, MAC それぞれに再送制御の機構があるが、それらが CU 側にある方がロバストと言える(基地局が故障しても再送できるとか?)。
  • Resource Pooling in CU

とかとか。

(以下、後日追記)