URLLC

Press Releases : DOCOMO Conducts World's First Successful Outdoor Trial of 5G Technologies for Ultra-Reliable Low-Latency Communications | News & Notices | NTT DOCOMO
報道発表資料 : (お知らせ)世界初5G高信頼低遅延通信(URLLC)の屋外実験に成功 | お知らせ | NTTドコモ


docomoHuawei が共同で URLLC の実証実験に成功したとのこと。URLLC の要件である、99.999% の信頼性(パケット伝送の成功率)と 1 ミリ秒の無線区間の伝送遅延を達成した。

日本語のリリースによると、「上り、下りにおけるデータ通信時の伝送時間(伝送時間にはデータを繰り返し送信することも含む)をそれぞれ約0.125ミリ秒に抑える」とあるので、TTI や 再送処理の調整を行っているのではないかと思う。例えば、HARQ のように NACK を受けて再送するのではなく先行して同じフレームを複数回送る事で、無線リソースの効率は落ちるものの、その分信頼性は上がる。

実際、ここに対してどのようなアプリケーションを載せていくかというのが重要になるだろう。例えば、無線区間の遅延が低減できたとしても、5G システムとアプリケーションとのインターフェースを適切に設計しないと、エンドエンド遅延の低減は難しい。ミリ秒未満の低遅延という話となると、例えば単純に 非リアルタイム OS のアプリケーションを Ethernet で結合しただけでは、それだけでジッタを生む要因になるだろう。

5G mmWave Coverage

Huawei and LG U+ completes 5G urban field test - Gizbot
LG U+ completes 5G field test in Seoul with Huawei | TelecomLead
LG U+ and Huawei Successfully Conduct 5G Urban Field Test - Huawei Press Center

Huawei と LGU+ によるフィールドトライアルの記事。韓国(ソウル)に mmWave のエリアを形成し、カバレッジおよびスループット確認を実施したというもの。

こういった試験を行う事で、概ね mmWave を使用した時のエリアの出来については評価できそうだ。都市部の構造物や人による遮蔽がエリア品質にどのような影響を与えるか、それを踏まえて、どのように gNB を展開するかといった基礎データになりうる。


加えて重要なのが屋内に対してのカバレッジであるが、現状は Nokia と Qualcomm のホワイトペーパー にあるように、屋内については目下検討中というところだろう。

Facebook のマルチホップネットワーク

Facebook-backed Telecom Infra Project adds a new focus on millimeter wave tech for 5G | TechCrunch

Facebook の計画。60GHz mmWave を使ってアクセス網を作る。オペレータには真似できないチャレンジな計画。

mmWave の周波数特性とビームフォーミング技術を活かすと、狙ったところにビームが出せる。これを使ってマルチホップネットワークを形成する。マルチホップネットワークで複数の経路を確保し、mmWave 特有の遮蔽影響を抑えるというのが技術的なコンセプトであろう。

北米では Google Fiber の登場から伺えるように、ブロードバンド普及に関してまだまだ市場が残っているようで、Verizon も FWA として Pre-5G サービスを展開する。

北米でブロードバンドアクセス網の整備が遅れたのは、おそらく国土の広さが起因していると思われる。ラストワンを無線にする Verizon, 全て無線でやる Facebook で対比すると、現実性という観点からは、 Verizon に分がある。しかし、その固定観念がチャレンジや技術革新を阻害し、既存事業者は淘汰されるという可能性も高い。

5G Indoor modem

Editor’s Corner—Verizon says its new indoor/outdoor prototype 5G modem solves one of the biggest 28 GHz problems | FierceWireless

28GHz 帯は 5G で利用が見込まれている周波数帯である。空き帯域が十分にあるため占有帯域幅を広くとることができる反面、遮蔽の影響を受けやすいという特徴がある。そのため、例えば LTE のように屋内浸透が望めない。

ガラスを隔てて、屋外の端末と屋内の端末を挟み込むようにして設置し、それぞれが通信できるようになっている。「モデム」とある事から、28GHz 帯を再輻射しているわけではなく、屋内端末が一種のルータのような動作をするようだ。

記事にある Verizon は、Pre 5G として FWA での先行サービス展開を目指している。当然、屋内向けのサービスである。FWA で 28GHz 帯を活用する場合、家の外壁等に端末のアンテナを設置し、そこから屋内に引き込むための工事をする必要がある。今回のような装置を使う事で、そういった工事が不要となるので、ユーザとしても光ファイバのようなものを使うと出てくるような工事が不要で、5G To The Home を利用できるという事になる。

5G repeater

SK Telecom Plans to Extend 5G Range With Repeater | Light Reading

SK Telecom が 5G 向けのリピータを開発したとの事。

リピータは 3G や 4G の頃から日本でも使われている。いくつも種類はあるが、一般的なメリットとしては回線の敷設が不要、比較的小型といったところが挙げられる。一方で、伝播する電波を受けた上でそれを増幅し再輻射するという性質上、適切なエリア設計を行わなければ干渉源も増幅させてしまうため品質が(設置前よりも)低下するというデメリットもある。

記事によると above 6GHz という事なので、高い周波数帯の持つ「直進性が強く、エリアカバレッジを確保しづらい」という問題を解決するためにはリピータは有効な手段と言える。直進性の強さが功を奏し、相互干渉となりづらいと想定されるからだ。

ところで、above 6GHz という事で Massive MIMO およびビームフォーミングのエリア配下でリピータが運用される事になるのだろうが、その場合にどのようなリソース確保が行われるかは興味深いところである。特定のビームをリピータ用に占有するような形になるのかもしれない。そうなると、Massive MIMO の一部を無線エントランスのように運用するような感じか。

OTT によるインフラの支配

A 5G Apple iPhone? Don't Hold Your Breath! | Light Reading

Apple が 28GHz 帯の実験用免許を取得した。28GHz 帯は 5G での利用が見込まれているものである。Apple 以外にも、以前から Google も同様の動きを見せているし、Facebook も別アプローチながらやはりインフラに目を向けている

これら OTT の動きをみると、Apple が端末メーカとして無線インタフェースとして 28GHz 帯に興味を持っているわけではなく、OTT がインフラに手を出していく潮流の中の 1 つであると考えられる。インフラの掌握というのは、(経営を軌道に乗せることができれば)インフラというストックモデルの中でより安定した収益を確保できるし、サービスやアプリケーションからラストワンマイルまでを垂直統合することによるシナジーを出せるといった展望がある。

例えば、AT&TDirecTV を絡めて、ビデオストリーミングをキラーコンテンツとしようとしている。いくら通信速度が速くても、それを活かすサービス、流したいトラフィックがなければユーザはインフラを必要としない。インフラというのは結局のところサービスあってのものだからだ。通信事業者と OTT それぞれがインフラを作ることを考えると、新しいインフラを作るという意味では通信事業者は有利だ。しかし、新しいインフラを使うためのモチベーションを持ってもらいやすいのは、サービスを持っている OTT の方かもしれない。

時価総額ランキングを見ると、Apple, Facebook, Alphabet, Amazon などなどが上位を占めている。IT の世界では OTT が主導権を握っていると言える。そのうち、こういった OTT による通信事業者の買収が始まる可能性もあるのかなとも思う。

FWA

5G fixed wireless gains traction in U.K. with Samsung, Arqiva trial

Samsung の製品を使ってイギリスの通信事業者が FWA トライアルをやるとの事。Verizon Spec がベースになっているのだろう。

Verizon Spec は、5G と銘打っているが FWA のために 3GPP よりも先行して仕様策定した技術になる。基本的にこれらの仕様がそのまま 3GPP に反映されるという事はなく、参加したベンダは資産流用が難しいかなと思っていたが、FWA というニーズのある国には(周波数帯を合わせるという作業はあるだろうが)そのまま売れるようだ。

イギリスなんかは(行った事ないけど)建物の築年数が長いといった背景も伴い、まだまだ ADSL が現役という事でブロードバンド化が進んでおらず、政府もそれを問題視しているようである。こういった国にとっては工事を最小限に抑えられる FWA は有効なのかもしれない。また、記事にある 28GHz 帯のような mmWave は占有帯域幅を十分に確保する事ができるため、高速大容量な通信を提供できるというのもメリットとなる。

一方で、直進性が強いため、従来のセルラーネットワークのようなエリアカバレッジを確保しづらい。カバレッジという意味で言えば、FWA 用途であれば端末は移動しないため、そういった課題もある程度割り切る事ができる。しかしながら、屋内浸透が望めないという部分は非常にネックになる。というのも、家の壁までは電波が届くものの、屋内に引き込むためには工事が必要になるからだ。この場合、「古い建物をブロードバンド化させたい」というニーズには少々ハマりづらい。

まとめると、

  • 低い周波数帯を使う場合
    • 占有帯域幅を確保しづらいため、ピークスループットは出しずらい
    • 屋内浸透が見込めるため、工事は比較的容易
  • 高い周波数帯を使う場合
    • 占有帯域幅を確保しやすいため、ピークスループットが見込める
    • 屋内浸透が見込めないため、宅内への引き込み工事が生じる

といった感じになる。過去の雰囲気からすると、前者の場合は、中途半端な速度しか出ないようなサービスとなり淘汰される可能性があるかなという印象。後者の場合、(アメリカのように)国土が広くファイバをいちいち家まで引き込んでいるとコストがかかるというケースにはよいのかもしれない。

ところで、FWA で真っ先に思い浮かぶのは WiMAX だ。IEEE802.16 系は、最初は盛り上がりを見せたものの、チップを提供する Intel が手を引き、結局は次の規格が出ず、中身は TD-LTE という WiMAX2+ が出て終わりとなってしまった。こちらは Mobile WiMAX の話で、FWA での WiMAX を提供していた地域 WiMAX なんかは本当に話を聞かなくなった。そもそも、日本の場合は NTT 東西をはじめとした FTTH サービスがアホみたいに普及しているので、高速というイメージで WiMAX は勝てなかったのだろう。

思うところとしては、FWA に対するモチベーションがアメリカとイギリスで違うのかなと。前者は国土の広さから生じる「光ファイバを建物まで敷設するまでのコスト」であり、後者は「光ファイバを建物内に引きこむための工事コスト」なのではないか。

イギリスのようなモチベーションで FWA を導入する場合は、低い周波数帯を使う方が理にかなっているように感じるが、その場合はピークレートの問題が出て、結局中途半端な印象を持たれて普及しないというリスクがある。